【親の背を見て子は育つ】は親への戒めではなかった!
【親の背を見て子は育つ】という、日本のことわざ。一度は耳にしたことがあると思います。子どもは親のやっていることをちゃんと見ていて、それを当たり前のことだと思って育っていく、という意味のことわざです。
このことわざを耳にする度に、
「子どものお手本になるようなこと、できていないなぁ…」と、不安な気持ちになる方もいるのではないでしょうか。
また、親が口でどうこう言っても、親の行動が伴っていなければ意味がないんだ、という意味で使われることも多く、親にとっては「耳の痛いことわざ」のひとつにもなっています。
「いくら子どもに部屋をちゃんと片付けなさいと言っても、親の部屋がぐちゃぐちゃなら、子どもが片付けられなくても、仕方ないね。」とか、
「子どもは親をモデルにして育つから、言動に気をつけましょう。」などなど。
こんな風に、親への戒めのような感じで言われると、シュンとなってしまいますよね…。
しかしここでは、そんな一般的な解釈とは違った、その先にあるもっと大切なことに触れ、このことわざを、子どもの人生を応援する力に変えていきたいと思います。
確かに、子は親の行動を見て育っている!
【親の背を見て子は育つ】とはよく言ったもので、確かに一理あります。
「教えてもいないのに、娘が私と同じことをしていてびっくり!」
「この子は、趣味も立ち振る舞いも、お父さんそっくりね!」 などなど、
子どもが細かいところまでちゃんと見ていて、ゾッとする 驚くことも日常です。
また、
保育者として、このことわざに太鼓判を押せるのが、おままごと遊びの時間。
各ご家庭で繰り広げられるできごとや、親のクセ、嗜好までもが、惜しみなく表現され、ご家庭の様子が、透っけ透けです。
小さな子どもにとって、「自分の周りの大人」といえば、まずは親。(または、接する時間の長い養育者。)そして、私達は、24時間365日、全ての言動から影響力を発している*ので、 子ども達はとにかく、スポンジのように、一番身近にいる大人である親や養育者の、態度や言動、クセ、問題解決法などを、どんどん吸収していきます。
確かに、子どもは親の行動を見て育っていくのです。
(*影響力について詳しくは、後日記事にしてリンクを貼ります)
でもその先には、こんな選択肢があった
けれども、実は、その先にあることの方がもっともっと大切です。
それは何かと言えば、子どもが持っている選択肢。
子どもが、周りの大人から情報を受け取った後、その情報をどう使うのか。それについては、その子に選択肢があるよということです。
その子がその背を見て、
どう感じ、
どう考え、
どうするのか…
その情報が将来的にどう活用するのかは、その子の自由な選択に任されているのです。
つまり、
親の背中をがっつり見ている子ども達が、
必ずしも、その姿の通りになっていく、というわけではないのです。
それどころか、「反面教師」ということばもあるように、
見てきた姿と、全く正反対になることもあります。
子ども達には、自由な選択肢が待っているのです。
どんな環境下に育っても、いい選択ができる人に成長してほしい
親の背中をどう見て、どう活用するのか、子ども達には選択肢がある。
それは、大きな意味で言い換えれば、その子がどんな環境で育ったとしても、自分の力で、別の道を選択することもできる、という意味です。
そう考えると、世の中のこんなことが見えてきます。
「つらい生い立ち」のせいで幸せになれない人と、
「つらい生い立ち」にもかかわらず幸せになれる人、の違いについてです。
例えば、
親がアルコール中毒でつらい生い立ちだったこの人にも、選択肢があります。
【シナリオ A】 親がアル中で大変な人だったから、自分もアル中になった。
【シナリオ B】親がアル中で大変な人だったからこそ、自分はアル中にはならないようにした。
親がお金で苦労して散々な生い立ちだったあの人にも、選択肢があります。
【シナリオ A】親が金遣いが荒い人だったから、自分も貯金がいつもゼロの人生。
【シナリオ B】親が金遣いが荒い人だったからこそ、自分はかなりの倹約家になった。
たとえ同じ背を見て育っても、
【シナリオ A】の道を選ぶのか、
【シナリオ B】の道を選ぶのか、
どちらのシナリオにするのかは、本人の選択が大きくかかわってくるのです。
自分の人生を自分の力で楽しくする力をつけること
さぁ、
こうなっては、【親の背を見て子は育つ】というこのことわざを、「子どもは親や周りの大人から大きな影響を受けて育つんだ」という意味だけで終わらせるわけにはいきません。
親の大きな影響力すら、覆(くつがえ)すこともできるのが、彼らに秘められている自分の人生のために最良の選択をする力なのです。
そのままの流れだと悲しい【シナリオ A】になりそうな時にも、逆境をもバネにして楽しい【シナリオ B】で生きていく人に、育てたいのです。
これは、決して簡単なことではありません。
けれども、こういう力を育てることこそが、私達の子育ての最終目標である
【自分の人生を自分で楽しくする力】につながっていきます。
なかよしプロジェクトの子育ての最終目標について、まだ読んでいない方はこちら ↓
ここまで読んで、
「まだ小さな子どもには難しいのでは?」と感じた方も、いるかも知れません。
また、「生き方の選択の教育は、青少年にすればいいのでは?」と思った方もいることでしょう。
けれども、0歳から7歳は人間の思考回路の基盤ができる大切な時期です。7歳までの子どもが秘めている力はとても大きく、この時期に経験する全てのことが、その子のその後の人生に、深く深くつながっていきます。
だから、
7歳までの子育てでは、子に真似てほしい姿を見せることと並行して、彼らのその先にある選択力を、育てていきましょう!
もう「常にお手本にならねば」という焦りや後悔とは、さようなら〜!です。
その具体的な方法は、また改めてまとめていこうと思いますが、まずは 日常生活でこんな風に仕組みを作って、選択力をつけることから始めてみて下さい。1歳からでも、実現できますよ!