7歳までの子育て

子育て心理学研修講師による、読むだけで「心理学を使った子育て」が誰にでもできるようになる!心の元気な子どもを育てるブログです。

この砂漠で子ども達が取り戻したもの

何もない砂漠地帯の、電気も通っていない場所で24時間、家族で過ごしてみました。パンツも変えずに素泊まりで。

 

遠くまでずーっと、石がゴロゴロ転がっているだけの、荒れた大地。

視界をさえぎるものは何もありません。

 

「あの丘の向こう側がどうなっているのか、見て来るね。」と出かけた人の影が、一度米粒くらいの大きさになってから戻ってきて、

「丘の向こうもずっと同じだったよ」と言うような、そんな大地。

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「こっちもずっと石の丘だよ」米粒の声が、音波として伝わって来る。

 

この何もない場所で、特に何もせずに24時間を過ごすことで、

家族それぞれに、取り戻したかったことがありました。

 

 

何時間もドライブして、この大地に到着した子ども達。

「え?ここでどうやって遊ぶの?」「何もないじゃん!」

あるのは簡易テントと、石ころだけ。

おもちゃもない、公園もない、遊び場もない、エンターテイメントもない。

 

石しかない。

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どこまで行っても石ばかり。向こうに見えるのは誰かが作った布の家。

 

とりあえず周りをブラブラして、数時間が経ち、

そこからが「無」と向き合う大切な時間でした。

 

 

少しするときょうだいゲンカが起き、ふたりの泣く声が聞こえてきました。

6歳と3歳の兄弟。

ケンカの理由を聞いてみると…

「これはぼくの石!」「ダメー!この石が欲しい!」と、

見渡す限り、石しかないこの大地で、

逆に言えば、石なら無限にあるこの大地で、

ひとつの石の、取り合いをしていたと!

 

もぅ、『世界で一番くだらないケンカ』と名付けさせていただきました(笑)

 

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日が沈むと、金星が光っていた

 

そんなこんなで、何もないところで質素な夕食をとり、

電気もない、質素なテントの中で一夜が明けました。

 

 

子ども達の中に眠っていたものが目覚めた

 

そして、次の日のこと…



子ども達の姿に変化が現れました。

ふたりは、遊ぶ方法を見つけ出していました。

 お気に入りの石を探したり、

 石を投げたり、

 石を積んだり、

 石を並べて道を作ったり、

 誰かが大規模に積んでいった、ピラミッドみたいな石の山に登ったり…。

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石を使って、何種類もの遊びを考える子ども達。

ずーっと、何時間も遊んでいます。

 

 

ふと、

興味深いことに気が付きました。彼らはあまり笑っていないのです。

決して「わ〜い!わ〜い!」と言う感じの、いわゆる元気で楽しそうな子どもの様子ではないのです。それなのに、彼らが深く満足しているということが、親としてよくわかりました。

 

それは、静かで穏やかで、安らかな感じの満足感でした。

おそらく、彼らにもこの砂漠で、取り戻せたことがあったのでしょう。

 

 

子どもに本来備わっている力を取り戻す

 

普段、たくさんのおもちゃに囲まれ、忙しい生活に追われ、テレビやタブレットに楽しませてもらうことに慣れた、現代っ子の彼ら。

旅行先でも、子どものエンターテイメントがあり、楽しい刺激が、勝手に飛び込んで来る時代。

 

そんな時代に育っている彼らに、ここで与えらたのは、

何もない空間、石ころ、

たっぷりした時間、家族、

そして、

自分。

 

それだけ。

 

 

自分が何もしなければ、何も起こらないこの大地で、

自分の手を使い、

自分の頭で考え、

自分の感覚を大切にし、

自分でルールを決め、

自分が楽しめることを生み出した!

【自分で自分を楽しくする力】を感じている!

それが、楽しいんだ!それが快感なんだ!
子どもはそういうのが、うれしいんだ!

だから、静かで穏やかで安らかな満足感を感じたのでしょう。

 

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誰かが積み上げた石の山エリアを発見。 少し不気味だけど近づいてみたら、 こんな風に同じことを始めていた。

 

自分で自分を楽しくする力 

 

目で見て、耳で聞いて、肌で感じて、頭で考えて、心で感じて、

与えられた環境を、楽しさに変えていく【自分で自分を楽しくする力】

子どもは本来、誰でもみんなそういう力をちゃんともっています。

 

彼らはこの大地に放置され、それを少し取り戻すことができました。

 

別に、砂漠まで行かなくてもいいのです(笑)

子どもを楽しませる刺激を出していないところならば、近場でもいいのです。

世界で一番くだらないケンカをしながら、もがいていく。

自分が何もしなかったら何も起きないその空間を、

「つまんなかった」で終わらせない自分になる。

 

その過程で得られるものが、お土産です。

 

なかよしプロジェクトが掲げる、子育ての究極の目標(※1)、

【自分の人生を自分で楽しくする力】とは、例えばこんな力のこと。

子ども達が、持っていてうれしい力なのです。

 

子ども達よ、もっと自分の力に気づいて生きていって!楽しいよ!

そう、子ども達に伝えていきましょう。

 

 

*この記事は、なかよしプロジェクトのFacebookの過去記事を、このブログ用に書き直しています。記事に出てくる砂漠地帯は、イスラエル南部のネゲヴ砂漠です。その後数年間「心のデトックス」と称し、一年に一度、替えのパンツは持たずに一泊しに行き、子ども達のお気に入りの場所となりました!

 

 

※1)子ども達へのメッセージ入りの記事です。

子育てのゴールは「自分の人生を自分で楽しくする力」をつけること

 

 

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